6月23日(火)のTERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ)vol.2は、会場リムグリーンのオーナーさんでもある塚田有一さんに「花つこよみ」というテーマでお話ししていただきました。
タイトルの「花つこよみ」の「つ」は、「黄泉比良坂(よもつひらさか)」などでもおなじみですが、連体修飾語を作る古典文法の格助詞で、現代語の「の」に当たります。「花のこよみ」ということですね。また、「はなつ」ということで「放つ」、「話す」ということにも通じます。
かつて日本には四季の移り変わりに即した暦が存在していたわけですが、西洋的なライフ・スタイルに移行した今、私たちは自然の移り変わりをかつてと同じようには感じることができない生活を、無自覚に送ってしまっています。都会暮らしをしていると、自然というのは何だか遠いものに感じられ、なかなか触れられないと思ってしまいがちですが、必ずしもそうじゃないんだよというのが今回のお話。
これから日本は夏を迎えますが、そもそも春、夏、秋、冬といった季節の区分を改めて考えてみる。身の回りに生えている植物や咲いている花を、そして今この時期に行われている祭りや行事を改めて考えてみる。季節の区分にせよ、植物・花にせよ、祭り・行事にせよ、その多くが私たちの多くにとって単なる記号化した名称に過ぎません。植物だったら、実際に目で見てみる、手で触れてみる、名づけの意味を考えてみる。そうするだけでも、先祖たちが生きた季節の移ろいを、私たちもまた生き直すことができるでしょう。
塚田さんの語り口は独特で、常に言葉を吟味し、形骸化した記号から生きた言葉に戻そうと試みているかのようです。例えば、今まっさかりの紫陽花(あじさい)は、古形「あづさゐ」で、旧かなでは「あぢさゐ」とされるとのこと。一説に「あづ」が「集まる」、「さ」が「小さな」、「あゐ」の「あ」がいつしか発語されなくなって「あぢさゐ」になったと言われているそうです。
今回の参加者は大半が女性でした。やはり花やこよみが気になるのは、女性なのでしょうか(笑)。塚田さんが話の幹を作り、そこに参加者の皆さんが枝葉や花を添えていく様子は、まるで花活けや庭造りのようでした。
折よく塚田さんがFOODIEで行っている連載が更新されました。
花と食で彩る日本の暦〜『入梅』、『夏至』
紫陽花の話はこの中でもしてくださっています。
皆さんもこの機会に、移ろいゆく季節と身の回りにある自然について考えてみてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿