白根全さんは優に50回はマチュピチュを訪れているという、言わばマチュピチュの達人。その白根さんが、秘蔵の写真や貴重な資料を交えつつ、2時間たっぷり使って、マチュピチュのあれやこれやをお話しくださいました。
会場の様子
当日の配布資料
そもそもマチュピチュはペルーに存在するインカ帝国の遺跡。白根さんのお話は、ペルーという国の地理的条件から、アンデス文明~インカ帝国へと至る歴史を通り、その風土と歴史が育んだ文化、そしてマチュピチュへ――。まさに博覧強記の講義といった趣で、参加者の皆さんは学生に戻ったような様子で、思わず白根さんのお話に聞き入ります。
こんな風に壁面に写真を投影
はたしてマチュピチュが何のために作られたのか。実はそんなこともまだ正確にはわかっていないそうです。マチュピチュがアメリカの学者ハイラム・ビンガムに発見されたのが1911年。それから既に100年以上が経つわけですが、案外多くのことが謎のまま残されています。その中でも、はっきり言えることは、マチュピチュが、さまざまな災害に備えた計画都市であるということ。そもそもアンデス文明が、多様な気候に応じた耐震建築を発展させた文明だそうで、現代の最新技術も真っ青の耐震構造を備えた遺跡がそこかしこに存在しているそうです。
上の写真は5000年以上前に遡ると言われるラス・シクラス遺跡で使われていたという石を詰めたネット“シクラ”の残存物。
こんな貴重なものも見せていただけました。
実は、アンデス文明は、インカ帝国に至るまで、文字を持たない文明であったとのこと。白根さんは、そのインカ帝国について、まるで当時を生きてきたようにお話してくださったわけですが、それは現地をよく知る、現場の知の体現者だからこそ可能なことなのでしょう。
白根さんはこれからペルーに渡り、数カ月を中南米で過ごしたのち、秋頃に再び帰国されるとのこと。帰国されたあかつきには、ぜひまたTERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ)でお話しいただきたいものです。
白根さんが文と写真を手がけられた『たくさんのふしぎ 2013年10月号』「マチュピチュをまもる―アンデス文明5000年の知恵」(福音館書店)
0 件のコメント:
コメントを投稿