2016年11月6日日曜日

TERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ)vol.47 冬至の花結び

TERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ)vol.47 

テーマ:冬至の花結び
日時:11月22日(水) 19時から21時まで
講師:関根みゆき
聞き手:塚田有一
場所:東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会本館三階33-2号室 温室
地図 ※会場はイベント当日以外は一般に開放していませんので、ご注意ください。
料金:3500円(材料費込み/当日精算)
持ち物:持ち帰り用の包みや袋、鋏
お問い合わせ:こちらのフォームからお問い合わせください。
         フォームの「本文」に「TERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ) vol.47参加希望」
           とご記入ください。
※席に限りがありますので、事前にご予約ください。


ハロウィンの狂騒が過ぎ去ると、寒風に首をすくめてハタと冬の到来を感じます。
今度のTERRAIN VAGUEは、24節気で「小雪」に当たる11月22日。
結yuu主宰の関根みゆきさんにならう結びも納めの会。
一年の結びにふさわしい「冬至」の結びです。
品があって、厳かで、洗練された結びの意味を伺い、手ほどきを受けながら結んでみることで
自分の解れ(ほつれ)までが結ばれるようです。


以下、関根さんからのメッセージです。
太陽をはじめ全ての生命力が最も低下するこの時期、神嘗祭、新嘗祭(大嘗祭)が行われます。そして古代から重要視されてきた鎮魂祭は「魂しずめのまつり」「魂振りのまつり」ともいわれ、魂を扱う重要な儀礼として今も新嘗祭(大嘗祭)の前日に行われています。
この鎮魂祭の中で結びは古代の姿を残し、今もその役割を果たしています。
「むすび」という言葉は「ムス」と「ヒ」から成り立ち、「産霊」と綴ります。
「ムス」は生成、「ヒ」は霊・スピリット。紐を結ぶという行為と、この産霊(ムスヒ)にはどのような関わりがあるのでしょう。これが長年の私の興味であり、結ぶことを続けている理由でもあります。
紐を結ぶという行為は人類最初の建設的で創造的なものであったといわれます。結ぶことで新しいものが生まれ、さらに新しい価値を見出し、新しいパワーを感じた時、その喜びと驚きは現代の私たちの想像をはるかに超えるものだったにちがいありません。
結ぶという行為を通してムスヒを考える場。私にとってのテランバーグはそんな場所です。ここでは毎回古い結びをご紹介していますが、完成品を作る、結びを覚えるということを目指すものではありません。「結ぶ」という手の感覚を呼び覚まし、大げさなようですが、結びから日本という国を見ていく機会となることを目指しています。結びには何かそのような大きな秘密が隠されている気がしてなりません。
今回ご紹介する結びは稲穂を象ったような「にな結び」です。(※名前の由来は「にな」という貝の名です。) この結びは鬘や調度の装飾として古くから結ばれており、新嘗祭の中でも舞姫がこの結びを髪飾りに付けています。  
冬至に向かうこの季節。古代の儀礼から結びと産霊を考える場にしたいと思います。
冬至について、結びの側から関根さんが、植物の側から塚田がそれぞれお話をさせていただきます。
みなさま暖かくしてお出かけください。

 【プロフィール】
関根みゆき(せきね・みゆき)
http://www.yuunet.jp/pg136.html
山口県下関市出身 東京世田谷在住約18年間、都内ホテル(パレスホテル・銀座東急ホテル・ホテ
ルグランドパレス他)東京会館レストランなどの専属ピアニストとして活動。転職を機に、仕事のかたわら1996年より花結びを始める。2002年、2003年と海外の「日本伝統芸術祭」に飾り結びで参加。結びが世界共通の文化であると感じ、日本の結び文化に興味を持つ。2004年、京都「結望会」主宰、西村望代子先生に師事。2006年、東京カフェギャラリー「楽庵」にて初めての作品展。その後、西村先生「結望会」主宰、グループ展に出品。結びと深いかかわりのある折形に興味を持ち、折形デザイン 研究所の教室に通う。2010年、折形教室・応用コース終了2012年、折形デザイン研究所の教室で「結びの講座」を始める。現在、結びの研究・ご提案・制作・講座を主に活動している。

結びの作品:氷川会館「結びの五節供」パネル制作・川越氷川神社「まもり結び」12カ月
http://www.cocoromagocoro.com/about/
http://www.cocoromagocoro.com/tag/まもり結び/

TERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ)vol.46 「めぐり花」という方法

TERRAIN VAGUE(テラン・ヴァーグ) vol.46

テーマ:「めぐり花」という方法
日時:11月7日(月) 19時から21時
出演:塚田有一(温室/学校園/TERRAIN VAGUE)
ゲスト:中村彩
場所:東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会本館三階33-2号室 温室
地図 ※会場はイベント当日以外は一般に開放していませんので、ご注意ください。
会費:2000円(予約制/当日精算)
お問い合わせ:満員御礼! 定員に達したため受付を終了しました。

(写真:全てRiFT岩谷亮)



 あの震災以降、花に携わってきた者の一人として、居ても立ってもいられない想いで始めた活動が「花綵(はなづな)列島プロジェクト」でした。
この国に暮らす人たちは季節や風土をいつしかただそういうものとしか見れなくなってしまったのではないか、本当のめぐみは足元にあるのに、豊かさを見誤っているのではないかと感じてきました。僕もその鈍化した存在の一人には違いありませんが、花や庭の仕事をするようになって、何かしら子供の頃に過ごした野山のことを想起したり、折に触れ彼らから届くものの大きさを、そして自身が治療されているような体験を重ねてきました。
 花を立てるとは、花を活けるとは、どういうことなのか、「華道」は今、「道」たりえているのか。花とはなんなのか、、、問いは続いていきますが、問いながらこの「めぐり花」という方法を伝え、発展する方法を探しています。芭蕉のように仲間が各地にいて、そこで座が結ばれ、遊びが生まれることを願っています。



 今回は初めて公の場で「めぐり花」開催することになった「トットリノススメ」に塚田を呼んでくださったインテリア/エクステリアブランド”nido”の中村彩さんをお迎えし、当時の様子をご覧頂きながら、大変だったことや問題点や、良かったことなどを伺いつつ、塚田の想いなどもお話できればと思っています。
 日本列島という緑の宝島に住んでいること、実はこの島は生物多様性の専門家に言わせれば日本列島全域が最も多様な生物で溢れた場所であるにもかかわらずホットスポットとして危機にあること、そんな風土から生まれた芸能の一つである「活け花」とはなんなのか、みなさんと考えてみたいです。
 暮らしに花は欠かせない、花があるだけで空間は華やぎます。日々の暮らしにももちろん風土から受け止めた美意識が息づいています。伝統とか和文化がどうという話ではなく、花を愛で、切って活かすという生命に向き合う文化を考える場にしたいと思います。

”PETIT めぐり花”も体験いただきます!



「花綵(かさい/はなづな)列島」と呼ばれるこのくにの、
細やかでダイナミックにうつろう自然の息吹を、
その土地で切り取って、活けてゆく。
集った人々と、手に手に花を取って、連歌のようにめぐって活ける。
いつしかそこに、ユートピックな、めぐみとしての風景が立ち上がる。
「めぐり花」は「花の連句」です。歌うようにみんなで一つの花野世を。

【プロフィール】
塚田有一(つかだ・ゆういち)
ガーデンプランナー/フラワーアーティスト/グリーンディレクター。
1991年立教大学経営学部卒業後、草月流家元アトリエ/株式会社イデーFLOWERS@IDEEを経て独立。作庭から花活け、オフィスのgreeningなど空間編集を手がける。 旧暦や風土に根ざした植物と人の紐帯をたぐるワークショップなどを展開。 「学校園」「緑蔭幻想詩華集」や「めぐり花」など様々なワークショップを開催している。

中村彩(なかむら・あや)
1975年鳥取市生まれ。
18歳で上京、彫金を学び、ジュエリーデザイナーとして働いた後、27歳で鳥取へUターン帰省。
鳥取の金属加工メーカーで企画開発を担当後、独立。2009年に、株式会社nidoを設立。
インテリア、エクステリアのプロダクト製品を自社ブランドとして、企画・開発・販売を行う。